四国には日本百名山が二座あります。西日本最高峰の石鎚山が標高1,982m、その次に高い山が剣山で標高1,955m。
私はどちらの山へも登りますが、四国内で気軽に楽しめる山として一番好きなのは、瓶ヶ森。
瓶ヶ森は、いわゆる石鎚山系。その石鎚山系の寒風山入口にも、以前から“ 熊らしき動物 “の目撃情報のチラシがあります。
でもやはり、四国で熊といえば、やはり剣山系。毎年、熊の目撃情報が上がっているのをご存じでしょうか?
つまり、四国に熊はいるのです。
できれば会いたくないので、熊の生態について調べてみた結果。
私の結論は、お互いを守るという意味でも「まず、熊の生態・対策・対処法を知る」という考えに至りました。
私と同じように、「できれば山で熊に会いたくない」と思う方の参考になれば幸いです。
生態を知りたい理由
熊の生態について私が知りたいと思った理由。それは、私が行きたい山域(剣山系)に毎年、熊の目撃情報があるから。
山には行きたい
でも、熊に会いたくない!
以前、私が住んでいたのは本州山間部。毎年、民家近くに熊の出没があり、今年も全国ニュースで流れるほど。
一方、四国では「民家付近に熊が出た」と聞くことがありません。
ですが、近年、全国各地で頻繁に聞く熊被害。「いずれ、四国で同じことが起きてもおかしくない」と危機感を抱くようになりました。
ただ怖がるのではなく、「まずは相手を知るべき」と感じたため、熊の生態について調べてみようと思ったのです。
四国の熊
四国いる熊は、ツキノワグマ。その名の通り、黒い毛に月に似た白い模様が目立ちます。
模様の有無・形は、「熊(個体)によって違う」と出てくるので、動物園へ行ったときに確認してみようと思います。
剣山山系及びその周辺地域のみに生息する四国のツキノワグマは、2017(平成29)年時点で16頭から24頭と推定されており(鵜野ら 2019)、環境省レッドリスト2020では「絶滅のおそれのある地域個体群」とされています。
引用元:四国森林管理局 四国山地におけるツキノワグマ生息調査の結果について ~「はしっこプロジェクト2023」~
熊ってどんな動物?
そもそも、熊ってどんな動物?
聴力・嗅覚 人間よりずっと良い
走る速度 人間よりずっと速い(100m7秒台)
運動能力 木登り、水泳が得意引用元:宮城県警 クマ情報 ツキノワグマとは
学習能力が高い
▶ 人間の食べ物の味を覚えると、執着します!引用元:環境省 豊かな森の生活者 クマと共存するために
カンタンにまとめると、熊はこんな動物。↓
・運動能力抜群
・賢い
怖いのは、執着するという点。
人間より、はるかに優れた嗅覚・聴覚・運動能力を持つ、頭のキレる大型動物 に執着されたら、もはや逃げ切れる気がしないのは私だけでしょうか?
なぜ出会う?
そもそも、熊と人間はどういう状況で出会うのか?
わかりやすくするために熊にとって山は自分のテリトリー、いわば家だと仮定してみますね。
熊の家に人間が出かける理由。例えば、こんな感じ?
(登山や渓流での釣りなど)
・山菜やキノコを取りに入る
もし、熊の家で突如出会ったとしても、対処法を知っておけばお互いに悲しい思いをしなくて済むかもしれません。
残念なことに、最近は熊のほうから人間の家(民家)への出没がかなり目立ち、被害に遭ったニュースを聞くようになりました。
熊の生態や行動を理解すれば、
なぜ、民家に現れるのか?
その対策方法について
がわかると思うので、さらに掘り下げてみます。
熊の一年
そういえば、春の山菜シーズンあたりから「熊にあった」というニュースをよく耳にしますよね。
‖
春の山菜が芽吹く時期
熊と人間の行動範囲(求めているもの)が同じであるため、バッタリ熊に遭遇するのでしょう。
春だけでなく、柿やどんぐり(落葉広葉樹)が実る秋も同じことが言えます。
特にどんぐり類が不作の年は食物を求めてクマの行動範囲は広がり、本来の生息地を離れ、人里近くに近づくことがあります。このときに人との出会い、 農作物被害や林業被害などの問題を引き起こすことがあります。
引用元:環境省 クマに注意!ー思わぬ事故をさけようー
どんぐりなどが不作になる理由はいろいろあるようですが、「熊の食料が不作の年=熊に会う確率が高くなる」ことは頭に入れておくべきでしょう。
また、熊は思った以上に広範囲を移動する動物。
たとえ、四国でも「いつどこの山で会ってもおかしくない」くらいの気持ちで、山へ入ろうと思います。
民家などの場合
みなさんは、野外で動物に食べものを持って行かれたことはありませんか?
私はあります。明け方、テント内前室に置いているゴミ袋。わずかな隙間から引っ張り出され、ビリビリに引き裂かれた経験あり。
いつもは車内に入れるゴミ袋。周りにテントも多かったため、すっかり油断。「動物は食べもののニオイに敏感」と身を持って経験したわけです。
つまり、「人間は食べものを持っている」と知っている動物ならば、人間を恐れることなく、いとも簡単に近寄ってくるということ。
もし、それが熊だったら?
これほど怖いものはありません。
故意でなくても、人間が「野生動物に餌を与える隙」を作ってしまうと、本来はおとなしい性格と言われる動物(熊)を変えてしまいます。
また、熊は食べものでなくてもニオイが強いもの(例えばペンキ)に近寄ってくる、とテレビで観た記憶があります。
熊を含む野生動物が生息する地域では、すでにいろいろな対策を取られているはず。
四国でまだ熊被害を聞かないのは、熊が好むものをそのままにしない&防御柵など、なんらかの努力がなされているのかも?
とにかく、熊と人間の棲み分けをするためにも、熊を寄せ付けないことが大切ですね。
山で出会わないようにするには?
では、山で熊に出会わないようにするためには、一体どうすればいいのでしょうか?
登山される方は、「熊鈴」を身につけることが多いはず。また、熊が出そうな場所には、「設置済みの熊よけの鐘」や「防御用の柵」もありますよね。
私の場合、野生動物が出そうor歩き疲れたときなどはスマホで音楽を鳴らしたり、唄いながら歩きます。
なにもしないより、多少の抑止力になるかもしれませんが、それらは熊(動物)に人間の存在を知らせるものに過ぎません。
近づき過ぎた(フンや爪の跡など)と思ったら、静かに立ち去ることが肝心なのでしょう。
また、どうやら熊が活動しやすい時間帯があるようです。
クマの活動時間帯(朝、夕、黎明薄暮時)を避けて行動しましょう。 天気が悪くて薄暗い日(雨、ガス、霧)は昼間も活発に行動することがあります。
引用元:宮城県警 クマ情報 クマに遭わないためには
薄暗い時間でも熊は、活発に動くということ?
山ではよく霧が出ます。
隣にだれかいると思ったら熊だった!
そんなゾッとする経験はしたくありませんよね。
これはやはり、「熊に会った時の対処方法」を私は知りたいです。
もし出会ったら?
この写真の看板は、剣山系の徳島県那賀郡で撮ったもの。この周辺で猿は見ますが、熊を見たことはまだありません。
しかも、四国で熊被害を聞かないため、「具体的にどうすればいいのか?」が正直なところ、よくわからないのです。
剣山系にいることはまちがいないため、熊が出る地域での対処法を調べてみました。
そっと立ち去る
遠くにいるなら心配ないので、そっと立ち去りましょう。
騒がない
まず落ち着くこと。大声をあげたり、石や棒を投げつけることは、クマを興奮させてしまいます。
そっと下がる
ゆっくりと後退しましょう。クマは背中を見せて逃げるものを追う習性があるため、出遭ってしまった時は、静かに後ずさりしたほうが良いです。
自分の姿を大きく見せる(クマから逃げ切れない場合)
クマに正対して直立し、両腕をゆっくり広げて自分の姿を大きく見せるようにしましょう。持っている傘や、ビニールシートを広げたらクマの方が逃げていったという話があります。
子グマに出会ったら
絶対に近づかない。近くに必ず母グマがおり、子グマを守ろうとして攻撃してくる可能性があります。
引用元:宮城県警 クマ情報 クマに遭ってしまったら
熊に遭遇したことがなくても、これらは想像できます。↓
・親子熊が危険
・自分を大きく見せる
(傘&大きいレジャーシート)
実際、遭遇したとなると冷静に対処できる余裕はないかも。日頃から話に聞く&見ることがないわけですから、まちがいなく驚くはず。
たとえ、自分が冷静だったとしても、一緒にいるだれかが背中を向けて逃げることも想定しておくべきでしょう。
傘について
ちょうど先ほどの内容に出た、傘。私は「登山時に軽量傘を持ちたい」と前から思っています。
その理由は、猪。
近くの里山には猪が出没します。実際、猟師さんに仕留められた猪もみたこともあるため、「登山中に会ったら嫌だな」と思って対処法を調べたことがありました。
実は、ここでも出てきたのが傘!
実際にどれだけ効果があるかはわかりませんが、“ 身を守る一つの手段 “として覚えておいて損はないかもしれませんね。
■ イノシシの視線から隠れましょう!
背をむけず、ゆっくりと、 電柱や街路樹、塀などのかげに隠れましょう。
傘があれば、傘を広げて隠れましょう。
広げた傘は動かさず、座って体が見えないように隠れましょう。何人かで集まって、傘で亀の甲羅のように壁を作るのも効果的です引用元:香川県 正しいイノシシへの対処法
もし襲われそうになったら?
では、熊に襲われそうになったらどうすればいいのでしょうか?
とにかく慌てない
慌てずに、護身用の武器(クマ撃退スプレー)又は武器として使用できるような物(登山用ストック、カメラ、望遠鏡用三脚等)があれば用意しましょう。 そのためにも、いつでも取り出して使用できる状態にしておくことが大切です。
反撃する
クマ撃退用スプレーを使用したり、登山用のストック、カメラ、ベルト、落ちている石や木の棒など、素手以外の使える物を使用して、クマの攻撃を防ぎつつ、怯んだ隙を見て退避しましょう。
防御姿勢(反撃できない時)
うつ伏せになって顔と腹部を守り、両手で首の後ろを保護します。リュックサック等を背負っていれば、プロテクターになり一番大事な頭部や首部が守れます。転がされてもその勢いで元の姿勢に戻ることがコツです。
上記の方法を実施すれば必ず大丈夫とはいえません。研究や経験からとりあえず有効であるという方法です。
クマにあわないようにするのが一番大切です。引用元:宮城県警 クマ情報 クマが攻撃してきたら
↑必ず有効ではないにしても、私にとっては備忘録として活用したい内容。
・うつ伏せで腹を守る
・頭&首を守る(リュックも使う)
万が一のことを考えて、身を守れるもの(ストックや傘、熊スプレーなど)をやはり常備すべきでしょう。
こういう具体的な情報は“ 防御策をイメージしやすい “ため、私にとっては非常に心強く感じました。
まとめ:お互いを守るため
四国のツキノワグマは絶滅の恐れもあるため、生息調査も行われています。
できることなら、人間と熊が棲み分けしつつ、共に暮らしていけるのが一番!
ですが、「万が一のことがあってもそう言い切れるか?」
残念ながら、私は首を横に振ると思います。
熊が民家付近に出てくる理由を調べてみると、熊側の食料不足だけでなく、人間側の過疎化など複合的な要因も浮かび上がってきました。
私は実際に遭遇したことがないため、どれが正解かはわかりません。
ですが、お互いを守るという意味でも「まず、熊の生態・対策・対処法を知る」という考えに至りました。
私と同じように、「できれば山で熊に会いたくない」と思う方の参考になれば幸いです。
追記(24/11月)
石鎚山系の寒風山などに登られたことがある方は、このチラシに見覚えがあると思います。
登山口・トイレ内にもあるものの、「四国の熊=剣山系だろう」とどこか半信半疑でした。
剣山系にある、黄色で目立つ“熊注意“の看板って石鎚山系で見た記憶がないような?
ですが、先日、高知県でも熊の目撃情報があり、「町が注意を呼びかけている」とのこと。
いの町吾北地域の清水上分の林道で11日正午ごろに「クマを目撃した」との情報が12日、近隣住民から同町吾北総合支所に寄せられた。
引用元:高知新聞(令和6年11月13日付)より抜粋
寒風山から約30kmほど離れているものの、いわゆる石鎚山系付近には間違いありません。
やはり、四国であっても「どこで熊にあってもおかしくない」と思ったほうがよさそうです。